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七つの魔剣が支配する 3巻 感想 一年生編終了!

七つの魔剣が支配する3巻、感想です。

七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)

七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)

  • 作者:宇野 朴人
  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: 文庫
 

今回で1年生編ラスト となっています。

2巻でオフィーリアに攫われたピートたちは、一体どうなってしまったのか?

魔に落ちたオフィーリアの結末は?

魔法使いの暗部に踏み込んでいく3巻です。

 

 2巻の感想はこちら

ioris.hatenablog.com

 

あらすじ

前巻にて、オフィーリアが放ったキメラに攫われたピートとオブライエン。彼らを見捨てる形で迷宮から帰ってきてしまったオリバーたちはどうにかしてピートを助けようと手段を模索する。

しかし、1年生の彼らにはオフィーリアの工房がある3層まで進むことは天地がひっくり返っても不可能だった。

玉砕覚悟で迷宮に飛び込もうとするオリバーたちの前に思わぬ救援が現れる。それは過去に因縁のあった上級生で・・・。

 

ここからネタバレありなので注意

 さて、3巻の主役といえば、主人公たちではなく、オフィーリアとカルロスでしたね。

3巻を通して、迷宮内の災害のような存在であったオフィーリア=サルヴァドーリという人物の掘り下げになっています。

 

魔法使いと性行為

2巻ではマクファーレンの血族話を通して、魔法使いたちの血統主義と低い貞操観念がチラッと見えてきていましたが、今回は性行為に対するハードルの低さや子を作るという行為を魔道への利用に積極的に用いる様子をガッツリと見ることができました。

 

それは、オフィーリアのパフユームに苦しむオリバーに対して、ミリガンが性行為という単純かつ最適な解決法を提示するシーンであったり、オフィーリアは神聖な行為であるはずの子供を産むこと自体が彼女の魔法になってしまっているということであったり。

 

どちらにしても性別や性行為、子を成すことは魔法使いたちにとって手段でしかないということですね。

 

それは良いとか悪いとかいうことではなく、常識の違いというだけなんでしょう。

一般人にとっての常識と、魔法使いたちにとっての常識が異なるというだけ。一年生のオリバーたちは一般人と近しい常識を持っていますが、これもキンバリーで過ごすうちに変わっていってしまうのでしょうか?もしそうなってしまうならば寂しいですね。

 

 

オフィーリアとゴッドフレイ

この二人の関係性が3巻では語られました。

オフィーリアは過ごした環境がひたすら悪かった。そして生まれ持った能力も。

ゴッドフレイの存在が彼女を変えていくはずだったのですが、結果的にはゴッドフレイの存在自体がオフィーリアを追い詰めてしまう。

ゴッドフレイになにか落ち度があったかというと、特にはなくて。オフィーリアが一方的に悪いかと言われたら絶対そんなことはない。

オフィーリアを取り巻く環境が、彼女を悪い方へ悪い方へと引きづっていったんですよね・・・。

彼女がゴッドフレイに執心する気持ちも理解ができました。彼女が好きになれる異性はゴッドフレイだけでしょうね。カルロスが去勢という方法でオフィーリアと関係を築いたのに対して、

ゴッドフレイは男にとっては痛みが想像できてしまう方法で、正攻法で彼女のパフユームに打ち勝ちオフィーリアとの関係を築きました。すげえや・・・。

 

 

そこまでして、自分と一緒にいてくれたゴッドフレイ。彼の傍にいるために彼女が思いつく手段が作中で出てくるような手段しかなかったというのも、彼女の過去を知っている読者からしたら理解が出来てしまう。

自分だけで解決することを良しとせずに、友人に頼るということをキンバリーの生活で覚えていれば・・・とそう思わずにはいられないですね。

 

他人の力を頼ることは情けないとか、不甲斐ないとか思う人もいるかもしれませんが、僕はそうは思わないんですよね。

人に頼る方が勇気がいると思いません?

だって、他人を頼ったからにはその恩に見合うもの、対価を提供し続けなければ関係を維持できないと思うんですよ。それは金であったり、相応の働きであったりするかもしれないです。

けど、頼る相手が友人なら、頼られたことに対して対価を求めることはないと思いますね。だって、一緒にいて楽しいから友人なんですから。一緒にいるだけで充分な対価を貰っているんじゃないかと思います。

 

オフィーリアとゴッドフレイ達の関係も、僕には友人であるように見えました。

オフィーリアが友人を頼るという手段を選択できたはずなのに、選択できなかったこと。ここが彼女の唯一の失敗かなと読んでいて思ってしまいましたね。

 

その他

オリバーの潔癖さ

オリバーの潔癖さって何なんでしょうね。正直ミリガンの誘いとか大体の人なら乗ると思うんですけど。ミリガン見た目は結構可愛いですし。

オリバーのトラウマというと母親関係だと思うので、性行為自体を嫌悪するなにかが母親関係であったのかもしれないですね。

 

シャーウッド兄妹

オフィーリアの独白にあったオリバーの従兄妹に関する記述は、彼らとオフィーリアが同じ痛みを抱えているということでしたが、要するに迫害されるなにかを持っているということですよね・・・。この二人に関しては情報がなさすぎるので今後どういった役回りをしていくか気になります。

 

最後に

一年生編も終わりですが、まだ仇も一人しか倒しておらず、魔剣も二つしか出てきておりません。

オリバーたちが力不足というのは散々描写されていますので、2年生の彼らがどれだけ成長しているのかが楽しみですね。